マレーシアの風景 チャイナタウン(KL)
-1998年
極彩色の花と軒下の裸電球が 夕闇を誘い
街角に残った熱気は醸されて 人々を酔わす
屋台の影で粥を啜る老人
乳飲み子を歩道に横たえて物乞いする女
都市の内臓 投げあう言葉の海
半透明の龍は彷よう人々の上を泳ぎ
欠けた月の待つ 蒼ざめた天空へ昇る
人々は 何処へ行くのか
旅人は 立ち止まり振り返る
「濁った河口」に飲み込まれた
馬来人 中国人 印度人 異邦人
亜細亜のカオス
十字路を渡れず 立ち尽くす
故郷は 何処だろう?
そして、懐かしい気持ちになるのは
何故だろう?