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2000年 木谷和美さん「ちょっとタフだったGO!GO!マレーシア」 


 サイフーさんの先導で、民家や雑木林の中を走る。日本にも有りそうな風景だ。最初の休憩地点は林の中。白樺そっくりな木が約3m間隔で整然と植林されている。この木何の木、気になる木〜♪と、ずっと思っていたのよねー。車窓からも見えたもん。まさか、白樺じゃないよね?
 正解は「ゴムの木」。えっ、ゴムの木ってピカピカした葉っぱの、あのゴムの木じゃないの??どうやら違うらしい。勉強になります。大きな彫刻刀みたいな 道具で、幹に斜めに傷を付けると、白い樹液が出てきて下方にセットされたカップに溜まる、という仕組みだ。樹液は木工用ボンドにそっくりだ。ネバネバして いて、固まると弾力が出る。写真を捕ってもらおう!とすると、樹液採取業のおじさんが例の彫刻刀を貸してくれ、「こうやって削るんだ」と、身振りで教えて くれる。「えっ、削っていいのっ?」ガリガリガリ…あら、うまくいかないわ。おっと、おじさん、何で取り上げちゃうの?いいとこなのにぃ、と思ったら、 ポーズだけで良かったらしい。・・・ごめんなさい。

  赤い大地に、見渡す限り、オイルパームツリーが植えられている。怪しい側道に入るとヒルクライムの上に出た。おーここで練習かい、と思ったら、何故か 白い戦車がある??え?何これ??戦車の中から、ゾロゾロと兵士が出てきた。外にもいっぱいいる。なんなのよ〜。どうやら、アンタックの演習だったみた い。「あんたっく」って、何??良い子はここで遊んではいけないのね。

 しばらく走ると川に出た。佐伯旦那は、あれよあれよと言う間に渡ってしまった。男性陣は向こうで走るらしい。金子さんが呼んでいる。「おいでー」「はー い」と言ってバイクを押すが、意外に深く、流れも早い。これは無理かも・・・と思ったら、「帰っていいよー」だって。そんなこと言ったって、Uターンでき ないよ〜。結局、岸までバイクを押してもらう。お手数掛けました。薄暗いジャングルを抜け、明るい道に出るが、これで終わりではない。みんなが登れるヒル クライムが登れない。またしても、くやしい。佐伯さん妻のセローはぐんぐん登って行く。あぁ、レベルの違いを痛感。

 タイヤを言い訳にしちゃ、いけないな。帰ったらもっと練習しなくては。でも、これはミスコースで、全部は登らず側道に入る。薮だ。さらに進むと、今にも 落ちそうな傾いた丸太の橋が有る。危険なので、みんなで協力して、一台ずつ渡す。でも、橋が有るだけ良かったのだ。その後、橋のない川が何本も現れる。川 幅は数メートルだけど、水深は様々。とても、自力では無理なものも多い。それでも、みんなで(主に男性陣だが)力を合わせ、川を渡る。押す、引っ張る、担 ぐ、何でもアリだ。みんなヘトヘトで、時々、川に浸かって休憩する。金子さんは「あー、子供二人、作っておいて良かった」なんて、のんきな事を言う。おい おい、私はまだ、死にたくないぞ。根岸さんはかなり疲労している様子だ。モトパンもビリビリに破れている。ハードルートなのは予想していただけに本当に参 加して良かったのか、悩むところだけど、来ちゃったんだから仕方ない。絶対、最後まで笑って、楽しんで、帰ってやるんだーっ!
サイフーさんは、水を吸って動かなくなったバイクを、黙々とキックする。それはもう、何十回も。そして、必ず、エンジンがかかるのだ。うーん、マレーシア ンマジック。それにしても、あの細い身体のどこにそんなエネルギーが有るんだろう。疲れた様子も見せず、いつも励ましてくれる、タフで優しい、ナイスガイだ。
 サイフーさんのお兄さん(通称ソルジャー)は、職業柄か、もっとタフで、ファンキーだ。難所が大好きらしく、いつも、誰よりも元気で、大騒ぎ。「楽し い〜っ!!」って顔をしている。ソルジャーは、疲れたみんなに、いつもお菓子(非常食?)を配ってくれる。いつまでたっても無くならないのは、どうして? と思ったら、彼のバッグの中には、お菓子しか入っていなかった。なんてこった。
 パンさんは、クールだけど親切で、黙々とみんなのサポートをしてくれる。背が高いので、足付きの悪い場所では、彼の長い足が大活躍だ。かっこいい。タンさんは他のマレーシアンライダーよりも年上みたいだけど、年齢不詳。でも、元気だ。キュートな髭とバンダナが印象的だ。お洒落なんだな。ジャングルを抜 け、大きな川に出る。おー、ここは雑誌で見た、もんがーが渡っていた浅い川だ!ここは楽勝ポイントだな、と思っていたら、違った。増水していて、流れが速 いみたい。途中の中洲まで押していくが、男性陣が苦労している様子なので、先に進むのは危険だ。

 パンさんが「僕がやってあげるから、君は対岸に行ってていいよ」と言うので、ありがたくお言葉に甘えることにした。歩いて渡っても、流れの速さと足場の 悪さで、真っすぐ進むのもままならない。細田さんはなぜか、歩きの川渡りが上手だ。どんどん進んで行く。チャレンジャー中嶋さんは途中まで行くが、転倒。 頑張り屋で、すてきな人だ。
川の途中で止まっている、何台ものバイクを見ながら休憩する。川に浸かるが、破れた手のマメが痛くてグローブが外せない。まぁ、バイクを押さなければ、こ んな傷は何でもない。おや?パンさんはここまで残り15mなのに、エンジンがかからない。パンさーん、私のバイク、どうしよう…と思っていたら、川渡りキ ングの佐伯旦那が運んでくれた。頼りになる人がいっぱいで、楽チンだ。 何とか全員対岸に渡ったものの、エンジンのかからないバイクが大量に出来てしまった。
 予定されていた昼食ポイント、ショートカットルートもまだ先だという。もう、夕方。キャメルバッグ初体験の私は調子に乗って水を飲みすぎ、もう一滴も 残っていない。しかも腹ぺこだ。サバイバルだわ。サイフーさん兄弟が食べ物を買いに行った。その間にバイクを直す。自称「水没の女王」、女王」あゆみ嬢は ライターを持って来ている。さすが経験て素晴らしい。非常に役に立つ。次々とバイクが直る中、どうしてもエンジンがかからないKDX。でも、置いては行けない。サイフーさんが予備のプラグを持っている事を願うばかりだ。真っ暗になってから、サイフーさん達が食糧を持って戻って来た。食糧、それは発泡スチ ロールの容器に入った、ホカ弁状態のナシゴレンとミーゴレン。そして、缶コーラだ。遅い昼食?をみんなで貪り食う。うまい。箸もフォークも無いので、手づ かみだけど、気にしない。コーラは大切な水分なので、少し飲んで、キャメルバッグに入れた。

 予備のプラグも有って、バイクも完全復帰だ。さぁ、出発!と思ったけど、夜だ。真っ暗なのに、ライトの無いバイクが数台あるみたい。困ったわ…と思った ら、私のXRにもライトが付いていない事が判明。ひぇ〜、そうか、こいつはレーサーだったのか!驚きと絶望で、気が遠くなる。楽したツケが、とうとう廻っ てきたのかな。私は目の手術をして以来、暗い所では光が滲んで見え、すごく見にくいのだ。もともと鳥目だし、ライトが有っても無くても、ダート走行は無茶 だ。ライトの有るKDXに乗れば?と提案されても、エンジンかけられないし、足が届かないし、自信無い。セローとXR100しか乗ったこと無いんだもん。
あぁ、どうしよう…。

 のんきに遊んでる場合じゃ無かったよ。結局、私のバイクはランさんが乗って、私は斉藤さんと二人乗りとなった。助かった。先頭を走るサイフーさんは、ラ イトが無いのに、えらく飛ばす。どうして見えるの!?きっと目がすごくいいんだな。ロシア人が屈強なのにも驚いたけど、マレー人の目の良さにもびっくり だ。日本人はゲリラ戦になったら負けちゃうね。夜空を見上げると、日本では冬の星座であるオリオン星が、高い位置に見える。そっか、ここは赤道が近いん だっけ。星を眺めて走るとは思わなかった。★★★
ガンガン走って、無事、サイフーさん宅に到着した。みんな、妙にハイテンションだ。夜道を急いだ緊張感と、みんなで何かを成し遂げた嬉しさと一体感ってヤ ツだ、きっと。でも、実は私はちょっと冷静だった。なぜって、それは楽しちゃったから。やっぱり、一生懸命やらないと、得られない感動って、あるんだな。 今さら、どうしようもなかったけど、少しみんなが羨ましかった。
でも、今日の目標、「無事帰る」は達成したなー。うん、上出来かな☆☆☆